「今日あなたも救われる」
マルコによる福音書１６章１～８節
復活の出来事を目撃した女性達は、理解を越える事柄に震え上がり、正気を失いました。確かに、神様の救いの業は、頭で理解できるものではありません。神様のなさることも、御心も、私達の理解をはるかに越えたところにあるのです。
しかしこの復活の出来事で私達が分かることがあります。イエスの復活の前後で弟子たちが大きく変えられたということです。イエスを裏切って逃げてしまった弟子たちが、再び集まり、イエスに従っていた時よりもさらに困難な状況の中にあっても、迫害を受けても、福音を、このイエスの十字架の死と復活によって私達の罪が赦され、救われるということを宣べ伝えていったのです。殉教する者もおりました。まさに主イエス・キリストに従う姿が、そこにあります。
彼らは本来なら、イエスの死をもって終わっていたはずです。安息日が終わって週の初めの日、つまり日曜の朝早く、墓に行った女性たちは、墓が空であることを知ります。そして墓の中の若者に、イエスは復活されて弟子達より先にガリラヤ行かれており、そこで弟子達は会えるだろうと告げられます。主イエスを裏切った逃げた彼らに主イエスが示されたのは、裁きではなく、イエスがかつて伝道を始められたガリラヤに、すでに行かれているということでした。彼らの罪が赦されて、新しい歩みに導かれているということです。徹底的に打ち砕かれた彼らだからこそ、神様はその罪から解放し、彼らをまた福音を宣べ伝える働きへ、押し出しているのです。
罪とはなにか。それは何かにしがみつくこと。手離さないこと。頑なになることです。神のものを自分のものにしてしまうことです。私達は皆、裸で生まれてきたのに、手にしているものを、自分のものだと思いこんでしまいます。どんなものも、他者から、神様から与えられたものです。何一つ、自分のものと言えるものはないのです。
イエスの十字架の死を通して、私達は自分の罪に気づきます。何かにとらわれている、手放せない、しがみついている自分に気づきます。神の御心ではなく、自分の思いにとらわれていることに気づきます。イエスと共に死に、イエスと共に起こされる時、私達も死から、罪から、自分の思いから引き離されて、新しい歩みが始まるのです。空の墓は、私達の心が空にされる、自分の思いで一杯だったのが、主の御心、新しい命で満たされることを思い起こさせます。教会は、信仰は、私達が力を誇る場所ではありません。自らに頼らず、神に依り頼んでこそ。神の、聖霊の働きがあるのです。
私達は自力で、頑張って起き上がるのではない。イエスは、お見捨てになったのですかと叫ぶほどに徹底的に神に委ねた時に死から起こされたのです。私達も打ち砕かれ、悔い改めて神に立ち返ろうとするとき、己の力ではなく、主イエスと共に起こされるのです。先に主イエスが行かれるガリラヤは、伝道の始まり、最初にもどることを意味します。もう終わり、と思ったところが始まりなのです。今日私達も起こされて、救われて、新たな道を、主イエスと共に歩みだすのです。
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